(とぎすみせいぞう)
木炭は、古来、漆器や金属器等の研磨に用いられ、現在も朴炭【ほおずみ】、駿河炭【するがずみ】(または静岡炭)、呂色炭【ろいろずみ】、椿炭【つばきずみ】等の研炭が漆芸や金工の制作に不可欠の研磨用具として使用されている。
ホオノキを原料とする朴炭は主に金工に用いられ、ニホンアブラギリを原料とする駿河炭、アセビ(馬酔木)・チシャを原料とする呂色炭、ツバキを原料とする椿炭は主として漆芸に用いられている。
研炭は、ほぼ密閉した窯で原木を燃焼・炭化させ、炭化した材を燃焼中に窯から引き出して消火する白炭焼【はくたんやき】の製法により製造されるものが多く、鋸【のこぎり】等で切断した後、さらに器物の面に合わせて砥石等で成形したものが用いられる。
研炭は、成形が比較的容易なため、複雑な曲面の研磨にも適している上、研汁【とぎじる】に混入した貴金属の回収が可能であることなど、耐水ペーパーや人工研磨材等の代替材料に比べて優れた特質を有している。良質の研炭は、漆芸および金工の制作のほか、有形文化財(漆工品など)の保存修理に不可欠のものである。
出典:国指定文化財等データベース 名称検索欄に「研炭」と入力・検索>研炭製造
研炭について
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