(うるしかきようぐせいさく)
日本産漆は透明度、堅牢度等に優れ、漆芸の制作や漆工品等の保存修理に不可欠である。国は、「日本産漆生産・精製」の技術を選定保存技術に選定し、日本文化財漆協会を保存団体に認定して、漆の植栽等の事業に対し助成を行っている。
漆の採取には、漆樹を痛めず良質の漆を多く採取するため、特別に発達した漆掻き用具が使用されてきた。荒皮を剥【は】ぐための曲【まが】り鎌【がま】、漆液が出るよう樹幹に溝をつけるための掻【か】き鎌【がま】、漆液を採る掻【か】き箆【べら】、掻き採った漆を大きな桶に移し替えるときなどに使用する金属箆のゴクリ、最後の漆を採るときに荒皮を剥【む】くエグリ鎌などがその用具である。これらの用具は、掻き手の技術の特徴に応じ一本ずつ微妙に調整して鍛造・製作される。
漆掻き用具の製作は漆生産の減少とともに少なくなり、現在その技術者は一軒となっている。日本産漆は漆芸等の無形文化財の保存および有形文化財(漆工品等)の保存修理に不可欠であり、その採取に欠かせない漆掻き用具製作技術の保存・伝承を図る必要がある。
出典:国指定文化財等データベース 名称検索欄に「漆掻き用具」と入力・検索>漆掻き用具製作
現在、選定保存技術保持者は全国で1名。
青森県 中畑 文利 氏(平成7年5月31日 認定)
2015年4月に地域おこし協力隊員として弟子入りした男性(23)が体調を崩して7月末に退職。このため、再度、地域おこし協力隊員を11月に募集したところ、1人が応募、面接などを経て弟子入りとなった。中泊町出身、弘前市から転居した新岡恭治 氏(39)が修業を開始。
2018年現在の情報によると、「最後の弟子」として福島県いわき市の鈴木康人 氏(48)に技術を伝承している。
農水省の統計によると、国内の漆消費量のうち、国産は2.6%(2013年)と衰退。それでも田子町と隣接する 岩手県二戸市浄法寺町が6割以上を占め、この地域の掻き手約20人全員が中畑 氏の道具を愛用している。
関連リンク
浄法寺漆の総合サイト。 漆の歴史、文化、浄法寺漆、浄法寺塗、漆器などの情報が満載。
ホーム画面から「うるしの國の物語>うるしびとの物語>鍛冶屋 中畑文利さん」で、紹介されている。
「職人の手仕事」ページに、「漆搔き職人」の仕事の流れなどが紹介されている。