Sentence Aid

Posted by:Celsia23 LLC Posted on:11月 13,2016

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特許公報を読まずに先行技術調査や無効資料調査を!!

 

―特許調査用解析ソフト―

「Sentence Aid」

 

「Sentence Aid」は、先行技術や無効資料調査等の作業の効率を飛躍的に高める事が出来る画期的な

「特許調査支援ツール」です。

 

通常の特許調査では、技術内容で分類されたIPC等の特許分類やワードを使用して、調査対象となる母集団(調査対象の特許公報群)を作成します。センテンス単位ではなく、文献単位(特許公報の全文)で母集団から個々の特許公報を見ていき、期待している記載のある特許公報を探していくという、非常に時間のかかる作業を行っています。ですので、特許分類やワードの組み合わせを工夫して、調査母集団の件数の絞込み、必要な特許公報の漏れやノイズをできるだけ少なくなるように母集団の作成に苦心しています。

 

一方、「Sentence Aid」を使用する調査では、センテンス単位での検索を行うために、調査対象となる母集団の作成にそれほど時間を取られません。IPC等の特許分類のみ、或いは、ワードのみでも問題ありません。ノイズの多い母集団であっても、気にする必要がありません。センテンス検索では、検索に使用した語が指定数以上ヒットしているセンテンスを回答し、直ちにそのセンテンスを見る事が出来ます。

 

原理的に回答のノイズが大きくなる従来の特許調査に比べて、作業時間を数十分の1に短縮します。

 

特に、研究開発者にお薦めです。

 

特許調査は、必要だとわっていても面倒なものです。特に、研究開発者にとって、知財部にも無理は言えないし、簡単に、調査できると有難い。自分で調べるとしても、できれば、必要な個所を読むだけで済ませたい。

 

今回は、そんな特許調査を可能にした先行技術や無効資料調査等の作業の効率を飛躍的に高める事が出来る画期的な特許調査支援ツール「Sentence Aid」の紹介です。

 

「センテンスとは」

「Sentence Aid」でのセンテンスとは、下記に示す文章中で句点「。」又は【段落番号】で区切られた個々の文をいい、従来の特許公報(以下、公報)単位での検索ではなく、文章中で句点「。」又は【段落番号】で区切られたセンテンス単位で、最適な記載のあるセンテンスを検索します。

 

句点「。」で区切られたセンテンスの例:

【この電解水は、水道水などを電気分解することで生成され、この電解水に存在する酸性水(次亜塩素酸水)により高い消毒、殺菌効果が得られる。】

【段落番号】で区切られたセンテンスの例:

【〖0009〗また、本発明の畜舎消毒システムは、前記原水が、塩素を含むものであることを特徴とする。すなわち、この畜舎消毒システムでは、塩素を含む原水を用いるので、pH調整が可能で強酸性の酸性水を得ることができ、高い殺菌性能を得ることができる。】

 

調査の際には、句点「。」又は【段落番号】は任意に切り替えて検索可能です。

 

「センテンス検索とは」

センテンス検索は、検索語の対象を公報単位でなく記述されたセンテンス単位での検索を行うもので、直接にセンテンスが回答として返されます。例えば、「骨代替材料であって、チタン又はチタン合金の表面に、チタン又はチタン合金の陽極酸化皮膜が形成されている。」と言う発明の場合、「チタン」「陽極酸化」及び「骨代替」を検索語として、図1にしめすように入力します。

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図1 検索例

 

「検査します」を押すと、図2の回答例に示す該当するセンテンスが表示されます。実際に、研究開発者にとっては、開発に関わっている技術内容であるので、表示されたセンテンスを読むだけで、そのセンテンスを含む公報が関連しているか否か瞬時に判断できるはずです。

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図2 回答例

 

「調査母集団の作成」

通常の特許調査では、技術内容で分類されたIPC等の特許分類やワードを使用して、調査対象となる母集団を作成し、この母集団から期待している記載のある公報を探していくという、非常に時間のかかる作業を行っています。ですので、特許分類やワードの組み合わせを工夫して、調査母集団の件数の絞込み、必要な特許公報の漏れやノイズをできるだけ少なくなるように母集団の作成に苦心しています。

 

一方、「Sentence Aid」を使用する調査では、センテンス単位での検索を行うために、調査対象となる母集団の作成にそれほど時間を取られません。IPC等の特許分類のみ、或いは、ワードのみでも問題ありません。ノイズの多い母集団であっても、気にする必要がありません。

 

では、実際に、下記の発明を調査対象として、母集団を作成し、先行技術の有無を調べてみましょう。

 

 

発明内容:請求項1

要件①

ピストンとシリンダヘッドとの間のシリンダブロック内に形成される燃焼室と、前記シリンダヘッドに取り付けれれる点火プラグと、前記燃焼室の吸気側に取り付けられ該燃焼室内に燃料を直接噴射するインジェクタと、 を有するエンジンの燃料噴射制御方法であって、

要件②

前記インジェクタは、前記点火プラグの電極部の下方を指向する燃料の上側噴霧を生成する上側噴霧用噴口と、該上側噴霧よりピストン側で且つ該上側噴霧のほど真下を指向する燃料の中心噴霧を生成する中心噴霧用噴口と、該中心噴霧の周囲で且つ吸気弁が動作する範囲外を指向する燃料の複数の側方噴霧を生成する複数の側方噴霧用噴口と、 を有し、

要件③

複数の前記側方噴霧用噴口の前記側方噴霧の燃料の指向方向は、前記ピストンが前記エンジンの運転中の特定位置に移動するタイミング時に、前記ピストンの冠面外周部を狙うように生成され、

要件④

前記インジェクタからの燃料の噴射時期は、前記エンジンの運転状態に基づいて制御されることを特徴とするエンジンの燃料噴射制御方法。

 

まずは、上記対象発明の簡単な説明をします。

この発明は、特許庁での審査を受け、元々、別々の発明として請求されていた要件②、③及び④が合体して、登録になったものです。図3に示す筒内直接噴射式エンジンの制御に関するものです

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図3 エンジン本体の縦断面図

 

では、調査対象の母集団を作成しましょう。今回の対象発明は、登録特許なので、下記の図4に示すように公報のフロントページにIPC等の特許分類が記載されています。

 

そこで、記載の特許分類をそのまま使用して、詳細は省略しますが、特許情報プラットフォーム(外部サイト)のパテントマップガイダンスにて、特許分類の技術内容を確認して、下記の母集団を作成しました。件数は、約1万千件弱です。

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図4 特許公報フロントページ(対象発明)の特許分類

 

IPC=(F02B23/10+F02M61/14+F02M61/18+F02D41/06+F02F3/28)+FI=(F02B23/10+F02M61/14+F02M61/18+F02D41/06+F02F3/28)・・・10,922件

 

調査をするためには、「Sentence Aid」用のDBに加工する必要があるため、調査母集団はCKSWeb(中央光学出版株式会社)からCSVファイル形式でダウンロードします。

 

「Sentence Aidでの調査手順」

調査を開始する前に、ダウンロードしたCSVファイルを調査用にDB作成を行います。

簡単に説明すると、

「Sentence Aid」を起動➡メニュー「ファイル(F)」➡DB作成(D)➡メッセージの「はい」を実行➡PCのCドライブに保存したCSVファイルを選択➡「開く」をクリック➡DB作成➡DBの作成が終了したら、メッセージの「OK]をクリック

 

「Sentence Aid」を起動して、DB作成終了まで、技術分野にもよりますが、10分程度です。

 

では、調査を開始しましょう。「Sentence Aid」を起動して、調査(S)で、作成したDBを指定すると下記図5の検索画面が開きます。

 

最初に、検索語を決め、検索語欄に入力します。上記の対象発明をみると、4つの発明要件から構成されていて非常に長い文章です。そこで、調査に際して、要件毎に分けて調査します。発明全体を調査対象とすると、検索語が多くなり、期待されるセンテンスがヒットしない可能性が高いです。

 

まずは、検索語画面等に機能説明を兼ねて、対象発明の要件①を見ることにしましょう。この要件は、「~であって」と記載されているように、一般的に、従来技術と考えて問題ないので、それほど重要視する必要もないです。要件②~④を調査する際に、この場合は「筒内直接噴射式エンジン」に関する発明であることに注意を払いながら、調査を進める程度で大丈夫かと。

 

検索語として、「ピストン」「シリンダヘッド」「シリンダブロック」「燃焼室」「点火プラグ」及び「インジェクタ」の6個のワードを選択しました。通常、選択するワードが多いと回答件数が少なくなり、少ないと回答件数が多くなります。実際に、調査に際しては、まずは少ないワードの組合せから検索を開始し、回答件数に応じて、ワードを増やして検索するようにします。

 

画面上で「ヒット率100%」とあるのは、選択した全てのワードを含むセンテンスを有する公報を検索します。適宣、必要に応じてヒット率の変更が可能です。また、類似語1、2とありますが、約250ワードの類似語をセット可能で、例えば、図5ですとインジェクタの替りに噴射弁と記載されている公報もヒットします。

 

ワードをセットして「検索します」をクリックすると作成したDBを検索し、ヒットした公報が「回答欄」に表示されます。要件①の場合、100%のヒット率で、62件ヒットしました。

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図5 検索画面①

 

「回答欄」の公報をクリックすると最大ヒット率、つまり、6個の全てのワードを含むセンテンスが表示されます。更に、確認画面に表示されたそれぞれの個所をクリックすると画面上に赤字で記載した内容を確認できます。図面等は、すぐに、PDF公報で確認することができます。

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図6 確認画面①

 

次に要件②を見ていきます。上側噴霧、中心噴霧及び複数の側方噴霧に関するもので、検索語として「インジェクタ」「噴霧」「噴口」「複数」及び「プラグ」を選び、図7に示すように、検索語欄及び類似語欄にセットしました。検索語等をセットして、回答が表示されるまで、数分です。ヒット率100%で52件ヒットしています。これくらいの件数ですと、確認するのに非常に楽です。

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図7 検索画面②

 

技術内容の確認は、「次の回答」をクリックしていくだけなので、52件ならすぐに確認作業が終了します。

 

要件②の代表例として、図8に特開2005-248857を示しています。合わせて、図面も表示しましたが、対象発明のエンジン構造とほぼ同一です。

 

因みに、対象発明の審査段階で拒絶理由として、定時されたカテゴリーX(関連性が高い文献であり、この文献単独で新規性・進歩性がないと判断できるもの)の公報は全て抽出されています。

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図8 確認画面②

 

ここで、検索語の選定について、要件②の特徴は、「上側」「中心」及び「側方」等の噴霧方向ですが、検索語のワードとしては、使用していません。技術内容からすると検索語のワードとしt選びがちですが、逆に、特徴すぎて検索に引っかからない場合があります。

 

実際に検索してみると(図9)、1件しかヒットせず、しかも、関係ない内容です。上記の場合ですと、共通している「噴霧」を使用します。とはいえ、両方で検索してもそれほど時間がかからないので、長いワードは分けるとか、共通ワードを使用するなど、工夫すると検索漏れを防ぐ確率が格段に高まります。

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図9 ワード選定例

 

続いて、要件③及び要件④を検索していきます。要件③では「噴霧」「冠面」及び「外周」と少ないワード、要件④では「インジェクタ」「噴霧時期」「エンジン」「運転状態」及び「制御」で検索しました。検索結果を図9~図12に示します。

 

上述しましたが、検索語は、発明中心と考えられるワードを選び、少数のワードで検索します。回答件数が少ない場合は、ワードの組合せを変えて検索をすると、期待される公報を抽出する確率が上がります。

 

要件③及び要件④の調査結果では、特開2005-139989を代表例として記載します。要件の違い、又は、検索語の組合せの違いによってもヒットする公報が共通していることは、対象発明の技術内容に非常に近いことを意味しています。この公報は、審査段階では、抽出されていません。

 

従来の公報の全文検索では、見落としてしまう記載個所であっても、検索語の選定や組合せを工夫することで、公報をほとんど読むこともなく、期待される公報を抽出することが可能となります。研究開発者が、直接、調査するのであれば、検索語の選定や組合せを熟知しているので、より一層、期待される公報の抽出確立が高まるものと思われます。

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図10 検索画面③

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図11 確認画面③

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図12 検索画面④

 

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図13 確認画面④

 

検索が終了し、抽出公報が出揃ったら、図13に示す比較表を作成し、対象発明との比較検討を行います。最終的には、弁理士等の専門家に依頼し、判断をしてもらうことになります。

 

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図14 比較表例

 

以上、「Sentence Aid」での調査手順を説明しましたが、母集団作成から比較表の作成まで、2日程度で終了します。忙しい研究開発者にとって、比較表の作成まではしなくとも、期待される公報のピックアップだけなら、研究の片手間にできるので、さほど苦にならないかと思われます。

 

ご精読ありがとうございました。

 

「Sentence Aid」に興味をもたれましたら、「お問合せ」からご連絡をお待ちしております。

 

お伺いして、デモを兼ねたご説明を致します。


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